「イシューからはじめよ」読書メモ 

この本を手にとったきっかけは、社内の尊敬する先輩たちが読んでいたから。

その先輩たちが、圧倒的タスク量の中仕事に忙殺されるわけでもなく、コンスタントにアウトプットを出されている姿を見て常々感嘆の思いを持っていた。

一方自分自身は、やるべきこと・勉強したいことが次々見つかるのはいいが、優先順位がつけられず、頭の中がこんがらがっている。

当然全てが中途半端になっている感覚が拭えなかった。

そこで、この本を読むことにした。

 

序章 この本の考え方ー脱「犬の道」

まず、目の前にある課題を因数分解しなければならない。

その考え方が序章において手引されている。

 

プロフェッショナルにとっての「バリューのある仕事とは何か」?

バリューの本質は以下の2つの軸から成り立っている。

①イシュー度

②解の質

 

イシューの定義とは、

A)2つ以上の集団の間で決着のついていない問題

B)根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしない問題

 

この2つを満たすのがイシュー。

 

イシュー度というのは、

「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」

解の質とは、

「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」

 

なにか課題解決を行わなければ行けない場合、解決策にだけ目が行きがちだが、そもそもその課題は解決の必要性があるのか?

まで考えられてこそプロフェッショナルであるいうこと。

 

そもそもイシュー度が低い問題をいくら見事に解決したところで、クライアントにとって価値がない課題解決だよねってこと。

 

最初はイシュー度も低く、解の質も低い領域からスタートしても、「バリューのある仕事をこなす」ために陥ってはならないのが「犬の道」。

質の低いアウトプットをこなしても、体が丈夫であればいつか「バリューのある仕事」をこなせるようになるかもしれないが、部下をマネジメントする際に自分と同じような「量をこなすことによっていつか質の高いアウトプットがこなせるようになる」方法論しか伝えることが出来ず、それでは根性論になるし、マネジメントリーダーとして大成しないと著者は喝破している。

 

その反対の道がタイトルにある通り「イシューからはじめよ」だ。

「イシューからはじめよ」とはつまり、物事を解決するとき「イシュー度」の高い問題に絞るということだ。

あくまで、「イシュー度」の高い問題なので、「こなしやすさ」に惑わされてはならない。

 

イシュー度の高い問題に課題を絞り込めたのなら、絞り込んだイシューについて、検討・分析を繰り返し、徐々に質の高い解を出せるようになる。

 

個人的にこのことについて伝わった比喩は

うさぎ跳びを繰り返してもイチロー選手にはなれない

だ。

かといっても、イシューからはじめるとは具体的にどういうことなのかイメージしにくい。

そこで、イシューから始めるためのアプローチを順を追って次章から解説してくれている。

 

自分自身努力は量だと思っていたので、「犬の道」という言葉にハッとさせられた。

根性に逃げるな

根性で仕事するとういことは、PDCAサイクルが回っていないことを意味し、思考停止に陥っていることを意味し、定型的な業務に陥っていることを意味し、つまりは無駄な仕事を本来発生させる必要のない時間を投下してこなしているということ。

イシューからはじめれば、質の高いアウトプットをこなせ、空いた時間はさらなる成長のための時間や、さらに質の高いアウトプットをこなすための時間に有効に使うことができる。

第1章 イシュードリブン -「解く」前に「見極める」

以降、第2章〜第5章までの

・仮説ドリブン

・アウトプットドリブン

・メッセージドリブン

は、イシューに対する解の質を上げる「三段ロケット」。

 

課題を考える心構えとして、下記のうち、上記2つは時間の無駄。

最初からイシュー度の高い課題を絞り込むつもりで考える。

考えるときには、常にチームの中で理解がブレていないか確認する。

チーム全体で、常に目的意識を持つこと。

これらを意識し、タスクのためのタスクを生み出さないようにする。

✗「やってるうちに見えてくるさ」

✗「やらなくてもわかっている」

○「これは何に答えを出すためのものなのか」

 

良いイシューの3条件

①本質的な選択肢である

なんちゃってイシューに振り回されないこと。イシューは動く標的。

同じ社内であっても、それぞれの立場毎にイシューは異なる。

イシューの主語を変えても成り立つのは、そのイシューの具象化が甘いということ。

 

②深い仮設がある

常識を否定すること。

新しい構造で説明すること。

この2つは見慣れたものを深く理解するためのアプローチの手法。

構造的な理解には4つのパターンが有る。

・共通性の発見

・関係性の発見

・グルーピングの発見

・ルールの発見

 

③答えを出せる

今答えを出す必要性があり、答えを出す手段があるイシュー。

 

良いイシューを発見するための材料の発見の仕方とは?

①一次情報に触れる

フットワーク軽くコールドコールをしよう。

以下参考記事↓

ameblo.jp

②基本情報をスキャンする

素早くスキャン(調べる)こと。自分の思い込みで決め打ちしないこと。

ここでのポイントは

・数字

・問題意識

フレームワーク

③集めすぎない・知りすぎない

情報がありすぎると、アイデアが出にくくなる。

・集めすぎ

・知りすぎ

を避けること。自分の中に余白を残す。

 

以上のアプローチを行っても、良いイシューが特定できない場合。

一度頭を休めて、上記のアプローチを行っても有効でない場合の使えるアプローチがある。

①変数を削る

②視覚化する

③最終形からたどる

④「So What?」を繰り返す。

⑤極端な事例を考える

 

以上のサイクルを行い、イシュー度の高い課題かどうか確かめる。 

 

第2章 仮説ドリブン① - イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる

ストーリーラインとそれに基づく絵コンテづくりは、解の質を高め、生産性を大きく向上させる。

この2つを合わせて、「イシュー分析(イシューアナリシス)」という。

 

イシューを分解し、答えを出せる粒度にまで小さくする。

それぞれのイシューに対して、仮説を立て、イシュー全体を検証するためのストーリーラインを組み立てる。

ストーリーライン上の個々のサブイシューに対して、分析・検証をする。

 

意味のある分解とは

イシューを分解するときはMECEになるようにする。

イシューを分解する「型」

・WHERE… どのような領域を狙うべきか

・WHAT…具体的にどのような勝ちパターンを築くべきか

・HOW…具体的な取り組みをどうのように実現していくべきか

 

型がないときには「逆算」する

最後に欲しい物から考える。

ストーリラインを組み立てる

分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる。

 

分解したイシューの構造とそれぞれに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことをしっかり伝えるために、どのような順番でサブイシューを並べるのか考える。

典型的なストーリーの流れは次のようなものだ。

  1. 必要な問題意識・前提となる知識の共有
  2. カギとなるイシュー、サブイシューの明確化
  3. それぞれのサブイシューについての検討結果
  4. それらを総合した意味合いの整理

ストーリーラインの2つの型

  1. WHYの並び立て

3つの視点の違うWHYをMECEに選び、並び立てる

  1. 空・雨・傘

・「空」‥○○が問題だ(課題の確認)

・「雨」‥この問題を解くには、ここを見極めなければならない(課題の深堀り)

・「傘」‥そうだとするとこうしよう(結論)

 

第3章 仮説ドリブン② - ストーリーを絵コンテにする

絵コンテとは何か

分析イメージ作りの作業。

 

「どんなデータが取れそうか」ではなく、「どんな分析結果がほしいのか」を起点に分析イメージをつくる。

(中略)

「どんなデータがあれば、ストーリーラインの個々の仮説=サブイシューを検証できるのか」という視点で大胆にデザインする

絵コンテづくりの3つのステップ

①軸の整理

分析とは

「分析とは比較、すなわち比べること」

どのような軸で分析するのかが大事。ここまでで、イシューの洗練がなされているので、視点の整理=軸の整理はなされている。

 

定量分析の3つの型

  1. 比較
  2. 構成
  3. 変化

複雑に見える分析も基本的にはすべてこの3つの組み合わせでできている。

 

②イメージの具体化

どの視点で見るかが決まれば、(軸の整理)具体的な数字をチャートに入れ込んでいく。

変化が大きいポイントについては精度の高いデータが必要。

ここで、データを取るだけでは駄目で、取ったデータを元に比較し、違いを見つけることが大切。

見つけるべき違いは

  1. 差がある
  2. 変化がある
  3. パターンがある

③方法の明示

取ってきたデータの取得方法を明示する。仮説を仮説で終わらせない。

第4章 アウトプットドリブン - 実際の分析を進める

ここから、データが出揃ったので、実際の分析に入るフェーズになる。

ここで大切な心構えがある。

いきなり飛び込まない

重要な部分を先に検証できるか確かめておく。

重要な部分とは?

具体的には、カギとなる「前提」と「洞察」の部分になるだろう。

「答えありき」ではない

イシューからはじめ、アウトプットするとは仮説が正しいと証明するデータを集めてきて満足し、検証を怠ることではない。

フェアな姿勢で検証しなければならない

トラブルをさばく

トラブル① ほしい数字や証明が出ない

・構造化して推定する

・足で稼ぐ

・複数のアプローチから推定する

トラブル② 自分の知識や技では埒が明かない

もっとも簡単なのは「人に聞きまくる」こと

回転数とスピードを重視する

「60%の完成度の分析を70%にする」ためにはそれまでの倍の時間がかかる。80%にするためにはさらに倍の時間がかかる。

一方で、60%の完成度の状態で再度はじめから見直し、もう一度検証のサイクルを回すことで、「80%の完成度にする半分の時間」で、「80%を超える完成度」に到達する。

単に丁寧にやっていると、スピードだけではなく完成度まで落ちてしまうのだ。

第5章 メッセージドリブン - 「伝えるもの」をまとめる

ここでは、出来上がったアウトプットをどのように受け手側につたえるのかが書かれている。

「デルブリュックの教え」というものがある。

 

・ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え

・ひとつ、聞き手は高度の知性をもつと想定せよ

ストーリーラインを磨き込む

3つの確認プロセス

  1. 論理構造を確認する
  2. 流れを磨く
  3. エレベーターテストに備える

プロセス①論理構造を確認する

不必要な部分があれば削る。削った結果、違うフレームワークに落とし込んだほうが整理されるならそうする。

その際もMECEになっているか確認する。

いくつものフレームワークを用いて説明しない。聞き手の理解度を落とす。

ときには、フレームワークにより伝わるようにオリジナルの名前をつける。

固定された概念を想起させるフレームワークだと趣旨が伝わらない場合もあるからだ。

プロセス②流れを磨く

優れたプレゼンテーションとは「混乱のなかからひとつの絵が浮かび上がってくる」ものではなく、「ひとつのテーマから次々とカギになるサブイシューが広がり、流れを見失うことなく思考が広がっていく」ものだ。

プロセス③エレベーターテストに備える

20〜30秒で概要をまとめて伝えられるようにする。

しかし、実はピラミッド構造に組み上げた時点で、トップレベルに結論が並んでいるので、準備は終わっている。

優れたチャートと磨き込みのコツ

優れたチャートが満たすべき条件3つ

  1. イシューに沿ったメッセージがある
  2. (サポート部分の)タテとヨコの広がりに意味がある
  3. サポートがメッセージを支えている

コツ①1チャート・1メッセージを徹底する

人がチャートを見て「わかる」「意味がある」と判断するまでの時間は、経験的に長くて15秒、多くの場合は10秒程度だ。

その時間で伝わるよう、要点を絞った簡潔なチャートにする。

どんな説明もこれ以上できないほど簡単にしろ。それでも人はわからないと言うものだ。そして自分が理解できなければ、それをつくった人間のことをバカだと思うものだ。人は決して自分の頭が悪いなんて思わない。

コツ②タテとヨコの比較軸を磨く

・軸の選択をフェアにする

・軸の順序に意味を持たせる

・軸を統合・合成する

・軸の切り口を見直す

コツ③メッセージと分析表現を揃える

比較表現には2パターンある

  1. 差分表現

・差分の大きさそのものに意味がある

・単位(結果比較の軸が揃っている)

  1. 指数表現

・差分の実数よりも変化の度合いに意味がある

・単位の異なるデータを評価する必要がある。

 

この2つの表現方法で、メッセージが本当に伝わっているのか再度見直しする。

 

下記参考書籍

https://www.amazon.co.jp/イシューからはじめよ-―-知的生産の「シンプルな本質」-安宅和人-ebook/dp/B00MTL340G/ref=sr_1_1?adgrpid=51691974365&gclid=EAIaIQobChMIz63O9sSr_AIVx7mWCh3pHgLlEAAYASAAEgLhTvD_BwE&hvadid=618689621402&hvdev=c&hvlocphy=1009303&hvnetw=g&hvqmt=e&hvrand=17615500328895639503&hvtargid=kwd-333310288002&hydadcr=2752_13606496&jp-ad-ap=0&keywords=イシューからはじめよ&qid=1672753647&sr=8-1