「エッセンシャル思考」読書メモ
エッセンシャル思考とは?
エッセンシャル思考は、より多くの仕事をこなすためのものではなく、やり方を変えるためのものである。
「やらなくては」→「やると決める」
「どれも大事」→「大事なものはめったにない」
「全部できる」→「何でもできるが、全部はやらない」
エッセンシャル思考の基礎となる3つの考え方
- 選択
YESと言う事に焦りすぎない。
それを引き受ける上で、何が犠牲になるのか熟慮する。
人間の体力や気力は、どんなに優秀な人でも無限ではなく、いつかそのリソースには限界が来る。
人間の人生は有限なので、早いうちから選択と集中を行うこと。
このことについて特にしっくりきた説明は、とある優秀なエンジニアの話だった。
彼は優秀であるが故にいつも沢山のことを同時並列で勉強していたが、全てのことにおいて中途半端で1mmずつしか進んでいないような感覚に置かれていた。
著者であるマキューン氏は彼にこうアドバイスした。
もっとも大事なことを、ひとつだけ選んでみてはどうでしょう?
10つの最優先事項を持っていると、成果が出せない。
上の例でいうと、10つの勉強をして毎年1mmしか進めないよりも、その中から最も大切な最優先事項を1つ決めて、毎年1cm進む方が、目に見える成果としてのreturnは大きい。
ただ、最優先事項を決めるのはとても難しい。
しかし、全てを優先するというのは、全てを優先しないのと同じ結末になる。
みんなを優先するのは、誰も優先しないのと同じだ。
また、自分にとって本質的に大切なことを優先するのは、一時的に見て相手を怒らせたり落胆させることもある。
しかし、長期的に見るとそれは相手からの敬意と尊敬を勝ち取ることなのだ。
例えば、ジョブスはNexT社のロゴを有名グラフィックデザイナーのポール・ランドに依頼した。
「複数のデザイン案を提出してほしい。」
しかし、ランドはこの依頼を蹴った。
「いくつも候補など出さない。」
ジョブスは憤慨した。
ランドは、自分自身の仕事の仕方に信念を持っていた。
最高のデザインを1つ提出するが、それを使うかどうかの判断はそちらでしてくださいと。
結果ランドの出したデザインはジョブスを感嘆させた。
そして結果的にジョブスの敬意を勝ち取ったのだ。
好印象を手に入れたいからと何でも安請け合いしていては、この敬意は手に入れることはできなかっただろう。
2.ノイズ
世の中の大半のものはノイズ。
その中から本質を選び取らないといけない。
本質を選び取るというのは、編集作業と似ている。
本当に必要なところだけを選び取るのだ。
スティーブン・キングの言葉で、以下の言葉が紹介されていた。
書くことは人の仕事だが、編集は神の仕事だ
1であげたような選択ができるようになるためには、何がノイズなのかを注意深く選択しなければならない。
そのために必要なスキルが3番目にあげるトレードオフだ。
3.トレードオフ
例えば、上司に急に差し込みの仕事を依頼されたとする。
この時、部下が抱えている仕事の何かしらは犠牲になる。
差し込みの仕事と、犠牲になった仕事はトレードオフの関係にあると言える。
この時、「どの仕事を後回しにしますか?」
と上司に聞くことで上司にトレードオフを意識してもらうことが出来る。
目の前の仕事を優先した結果、もっと重要な仕事が駄目になるかもしれない。
あるいは、自分自身の問いかけにもこれは使える。
目の前にやらなければいけないことが10個あったとする。
これをやることで自分は何をする時間を犠牲にしているのかきちんと認識するようにする。
人生は常に選択の連続だが、選択したもののみにフォーカスするのではなく、何が犠牲になっているのかを意識することで、結果的に本質的なものだけを選択する判断力が身につくのだと思う。
犠牲になったものを失ってでも、今の自分はこれをしたのだと考えることで、後悔の少ない人生を送ることにもつながる。
逆プロトタイプ
なんのためにその仕事があるのか謎な仕事がある。
例えば毎週作成しなければならないグラフィカルな手の込んだ報告書。
これは一体誰を喜ばせるための仕事なのか?
止めるべきか判断がつかない時には、「逆プロトタイプ」と著者が名付けた方法が役に立つ。
今やっていることを試験的に一定期間やめてみる。
苦情が来なければ、それはやめていい仕事だということだ。
こうして時間をより大切なことに使えるようになる。
仕事を早くする
手当たり次第に進めるのでは、逆に効率は悪くなる。
準備は徹底的にする。
バッファは最悪の事態が起こった時にかかる見積もりの1.5倍載せておく。
ボトルネックを見つける。
この仕事が進まない一番の問題点。
この問題さえ取り除かれれば、一気に仕事が軌道に載る。
そういうボトルネックを見つけること。
本当に必要なところに一度だけメスを入れる。これは問題解決にかぎらず、最上限の努力で最大限の結果を得るための普遍的なやり方である。
準備を徹底的にし概要を把握したら、ゴールを決めること。
「〇〇ができたら達成。」
期日もゴールに入るだろう。ゴールはできるだけ具体的な方が良い。
そして、ゴールが決まったら上述したようにボトルネックを見つけること。
仕事に取り掛かる前に自分に問いかけよう。
この仕事をやり遂げるうえで、邪魔になるものは何か?
仕事の完成を邪魔する要素を全てリストアップする。
そして、優先順位をつける。
そしてもう一度自分自身に問いかける。
これを取り除けばほかの問題も解決するような、大きな障害は何か?
ここまでで、明確にボトルネックが見つかればあとはそれを取り除くだけだ。
最後に
ここにメモしきれないくらい、様々な良いトピックがある本だった。
例え話も多く、文章も明快で分かりやすく、読みやすかったので2日ほどで読み終えることができた。
その割に学びもとても多かった。
エッセンシャル思考を生きる人は、周囲の人と同化しない。
人がイエスとい言うとき、あなたはノーと言う。
人が行動するとき、あなたは考える。
人がしゃべるとき、あなたは耳を傾ける。
人がスポットライトを浴びようと押し合うとき、あなたは陰に立ってしかるべき時期を待っている。
人が見栄えのいい履歴書をでっちあげてインターネットのプロフィールを派手な言葉で飾るとき、あなたは地道に仕事の力をつけている。
人が忙しいと不満 (=自慢)を言うとき、あなたは控えめにただ微笑んでいる。
人がストレスとカオスの渦中にいるとき、あなたは豊かで充実した暮らしを送っている。
この情報と雑音とストレスと虚栄に満ちた世の中にあって、エッセンシャル思考を生きることは、静かな革命である。