「スーパープログラマーに学ぶ最強シンプル思考術」第4章〜第7章:感想

 

前回までで、モデルの基本的な作り方とそのメリットを学習した。

今回は、その応用を学習していく。

mp-31.hatenablog.com

 

第4章 よりよいモデルを作るには?

四角と線でモデルを作れることは学んだが、それだけではよりよいモデルとは言えない。

よりよいモデルを作るための方法を本書で学んでいく。

まず、イマイチなモデルの特徴として以下の4点が挙げられる。

 

①目的・視点が定まっていない・ぶれている

②要素が網羅されていない・余計な要素が含まれている

③要素の抽象度が高すぎる・低すぎる

④要素の関係がうまく表現できていない

 

①について、まずモデルを作る際の自分の立ち位置を明確にすることで防げる。

また、初めから視点が定まっていなくても、モデルをつくりながら視点があってくることも多いので、まず作り始めることが大事だ。

 

②については、まず一つ一つの要素を削除してみて、本当に必要な要素かどうかを確かめる。

本当に必要な要素なら、削除すると意味の通じないモデルになるが、そもそも必要のない要素ならば削除したところで全体としての意味は通じる。

このような方法で欠かせない要素を見つけていく。

次に、不足している要素を見つけるには発散思考で見つけ出すことだ。

何がおかしいのか分からないが、モデルを見たときに違和感を感じるということは、余分な要素か欠けている要素があるということだ。

個人的には、このある種の勘のようなものが、モデルを何度も作ることで磨かれていくのではないかと感じた。

 

③については、抽象度と具体度を理解することが大切だ。

抽象度を上げるほど要素は少なくなっていき、具体度を上げるほど要素は多くなっていく。

また、この章で取り上げられていた「具体 is a 抽象」の「is a」の法則は、抽象化で迷子になったときに有効な方法だと感じた。

DBでも、TABLE名を隠しても意味のわかる設計にしなさいと教わったことがあるが、まさにこれは「is a」の法則と言えると思う。

 

④については、論理の飛躍がないかどうかを確かめていく。

確かめ方としては、まず関係に抜け漏れがないかどうか確かめていく。

文章として成立するかどうか確かめていく。この2点だ。

文章として成立するかどうか見ていくと、根拠が明白ではない(リレーションが突飛な)要素のリレーションが見えてくる。

そこに論理の飛躍がある。論理の飛躍があるということは、足りない要素があるということだ。これが一目で分かることもモデル化のメリットと言えるだろう。

第5章 身近なもののモデルを作る

この章は個人的に最も勉強になった章だった。

何故なら具体例が沢山出てくるので、モデルを作るということが具体的に理解できたからだ。

出てくるモデル化される具体例として

・猿も木から落ちる

・ついた餅より心持ち

コンコルドの誤り

の3つがあった。

徹底的に抽象化することで、コンコルドの誤りという一つの逸話が、著者の友人が結婚に失敗した話と同じ構造をもっていることに気づく。

しかし日頃からある種のモデル化を、人は図の形式に落とし込んでいないだけでおこなっているのではないかと思った。

同じ話の展開の映画や、同じマーケティング手法を使うアイドルグループなど…。

「このやり方ってどこかで見たことあるな」と感じる時、そこにはモデル化された手法があるのではないかと思う。

第6章 モデルを使い倒す方法

一つの現実からあらゆる視点で具体化されたモデルを取り出すことができる。

どれも間違いではない。

その結果、それぞれの具体化されたモデルから、それぞれの抽象化されたモデルを取り出すことになる。

具体化されたモデルを抽象化モデルにするときに同じ構造をそれぞれのモデルが持つというとになる。

ここで注意すべきなのが、ある現実から取り出された「具体化モデルA→抽象化モデルA」と「具体化モデルB→抽象化モデルB」があったときに「具体化モデルA→抽象化モデルB」としないようにすることだ。

 

上記に留意し、注意深く抽象化モデルを取り出せば、モデルの構造を汎用化することができ、複数の具体化モデルを取り出すことができる。

詳しくは次章で学ぶが、ビジネスにも応用できる考え方だ。

第7章 モデルをビジネスに生かす

ここまで学んだことを、この章ではビジネスに生かす方法としてブレインストーミングしてみる。

八百屋を開店するときに売上の上げ方を考えることになったと仮定して、モデルベース思考術を使う。

まず八百屋の商品の並べ方をモデル化する。

その時に、第5章で学んだように、汎用化できる抽象化モデルを他の業界の商品の並べ方から取り出してくる。

八百屋の商品の並べ方に他業界の商品の並べ方を当てはめた時に、例えばアパレル業界の「トータルコーディネート」を提示して消費者の購買意欲を刺激するという商品の並べ方は、八百屋では「献立を用意」と言い換えられることに気づく…。

読み終えての所感

薄い本だが、書かれている内容自体のボリュームは厚い。

モデリングを理解するための最初の一歩として読むのにはうってつけの1冊だと思う。

また、この読書感想文を書くこと自体が、本の内容を抽象化し、それを自分の所感として具体化するという、まさにモデル化するための訓練になることにも気づいた。

何故ならあらすじ通りに本の内容を書くだけでは、本の内容を抽象化していることにはならないからだ。

そのような気づきもあったりで、大変良書だったと思う。